長野市から飯田に引っ越して二度目の12月を迎えますが、南信はやっぱり暖かいですね。
さて今回は馬場町と仲ノ町あたりを散歩してきました。
このあたり、江戸時代は飯田城の武家地だったそうです。昭和22年の大火の被害が少なかった地域だそうで、歴史的な建物が多く残っています。
道路が石畳で舗装された、仲ノ町の通りから散歩スタート。
仲ノ町通り北側から入ると右に白壁に茶色の洋館と、左に茶色の板張りの古民家が出迎えてくれます。なんて風情があるんでしょう。惚れ惚れしながら進むと洋館のお隣にはこれまた立派な洋館が!
こちらは昭和13年に建てられた下伊那教育会の施設で、現在も研究発表会や研修などに使われているそうです。施設内は見学可能でした。
可愛らしい装飾が施された小さな受付窓。
中は木造で古い学校のような作り。各部屋の名前も黒い板に白い文字で手書きされています。
木造の階段は1段目からギシギシと音を立て、階段や二階を移動する間は軋む音がセットでした。
教育会館を後にして通りを進みます。
菱田春草生誕地記念公園の周辺は、小路と古民家で密度の濃ゆいエリアです。
迷路のような路地を抜け、二本松へ。
馬場町にはかつて遊郭があったそうです。(地図の「二本松」のあたりです。)今は跡形もないのがとても残念です。
二本松の通りを進み旧測候所を通って、馬場町通りへ。
ここは飯田市街地の高低差がよく分かる場所。大昔は向こう側に飯田城が見えたんでしょうね。
馬場町通りから、車が入れない「くつわ小路」というところに入ります。すると今はおそらく営業していない小料理屋群が現れます。
この通りは青線※説もあるようなので、遊郭が営業していた頃は、ここも盛っていたのでしょうか。今はまるで遺跡のように眠っていますが、なんとなく漂う妖しさはそこから来るのでしょう。とにかく、よくぞ残っていてくれた!と思えてならない「くつわ通り」の建物たちは一見の価値ありです。(ただし、今も住居として使われているようですので、お住いの方のご迷惑にならないようマナーを守ってご見学くださいね)
※青線・・・日本で売春防止法施行以前に非合法で売春が行われていた飲食店地域の俗称
くつわ通りを通りすぎると、谷を挟んで反対側の崖にへばりつくように、どエラい建物が見えてきます。東中央通りから見ると二階建てですが、裏から見ると4、5階建のように見えます。あやしさで溢れかえっていますね。
木造3階建て以上の建物は、今の建築基準法だと防災上の理由で簡単には建てられないと聞きます。これはかなり貴重なのではないでしょうか。こちらは現在は住居としては使われていないと思われますが、ご存じの方情報求めます。
再び馬場町通りに戻り、仲ノ町へ通ずる道を曲がると、スタートの板張りの古民家に戻ってぐるり、一周です。
最後は、元酒屋さんの建物をリノベーションした「クラノ」さんで一服します。こちらは2017年にオープンしたコーヒーとお食事が味わえるカフェです。もともと酒蔵だった建物をリノベーションしているので、店内は天井が高く広々と開放的。窓が開いている時は、近くの幼稚園の園児たちの声が聞こえて平和な気持ちになります。
そんな空間でバリスタのお兄さんが淹れてくれるコーヒーをいただくことのなんと至福なこと。
お店では自家焙煎の豆も購入可能ですよ。
歴史、地形、建築…色々な視点から楽しめる奥深い散歩スポットです。
これから寒くなりますが、古い建物に雪が積もるとまた、可愛いんですよね。
ぜひ歩いてみては如何でしょう。
テキスト・写真・イラスト/内山温那